高輝度 LED で動画撮影用ライトを作ってみた Part 4/6: 放熱ファン作製編【DIY・電子工作】

h どうも、ゼロ・インピーダンスの Kenn です。

今回は、動画撮影用ライトを作る動画の第 4 回です。もし以前の記事をみていないという人は、ぜひ初回から見てください。

悲報

えーと、実は、ちょっと残念なお知らせがありまして、前回の記事の最後に「明るさ調整回路からやる」というふうに書いたんですが、ちょっと問題が発生して、別のことをやらなくてはいけなくなりました。

何かと言うと、前回の記事を書き終わった後に、テストとして LED をフルパワーで 10 分くらい点灯させてたんですね。そして確認のために CtrlBox のふたをあけてみたら、だいぶ中の空気が熱くなっていて、ちょっと焦げ臭さもあったんですよ。

正直、思った以上に発熱があることが分かって、実際には数時間点灯させる可能性もあるわけなので、定電流回路の放熱を何とかしないといけないなとなったわけです。

定電流回路の発熱

発熱してるのは電流制限に使っているトランジスタでした。

前回の記事で定格を満たしていることは確認したんですが、熱が CtrlBox 内に篭もってしまって、トランジスタの温度がどんどん上昇したんじゃないかと思います。

一応、CtrlBox に空気穴をあけてはいたんですが、不十分だったということなんでしょうね。

定電流回路の放熱方法

放熱穴を大きくするとか、放熱穴を網を取り外すとか、いっそのこと CtrlBox の壁をとって回路むきだしにしようかとも考えたんですが、やっぱり積極的に空気の流れを作ってやらないとダメかなと思って、簡単なファンを取り付けることにしました。

といっても急にファンといわれても用意してるわけがないのですが、FA-130RA という安い DC モーターがあるので、厚紙でファンぽいものを作って、モーターに取り付ければ、なんとかいけるんじゃないかと思います。

fa-130ra.jpg

ただ、FA-130RA の動作電圧は \( 1.5\,\mathrm{V} \) 程度なので、\( 1.5\,\mathrm{V} \) の電源を作る必要が出てくるんですが、とりあえず、ファンとしてうまくいくかどうか別の電源でテストしてみようと思います。

以下、作製風景です。詳しくは動画をみてください。

video1-5.jpg

↑ 厚紙でファンのようなものを作って、

video2-5.jpg

↑ モーターに取り付けます。

video3-5.jpg

↑ テスト電源で試したところ動きました。

video4-3.jpg

↑ プラダンでファンボックスを作ります。

video5-1.jpg

↑ 効果測定。ファン OFF 時には線香の煙が上に立ち上ってますが、

video6.jpg

↑ ファンを ON にすると煙が吸い込まれました。

\( 1.25\,\mathrm{V} \) DC-DC コンバータ

とりあえず、例のファンで大丈夫そうということで、モーターの動作電圧 \( 1.25\,\mathrm{V} \) を出力する電源、というか定電圧回路を作ることにします。

定電圧回路というと、前回作った定電流回路のように、トランジスタとオペランプを組み合わせるシリーズレギュレータ方式が有名ですが、今回は \( 18\,\mathrm{V} \) からなので降圧幅が大きいというのと、出力も \( 1\,\mathrm{A} \) 程度ほしいということもあって、シリーズレギュレータ方式ではトランジスタでの消費電力が大きすぎて非現実的です。

ということで、消費電力が少なくてすむスイッチングレギュレータ方式の電源にしようと思います。

スイッチングレギュレータ方式は使用するパーツが多くて、設計も大変なんですが、MC34063 という専用の IC を使えば、そこそこ楽に作れるかなと思います。

mc34063.jpg

この IC は昔からある IC で、効率はそこそこなんですが、仕組みが単純で、AliExpress から買えば値段もかなり安いので、結構使いやすいです。

\( 1.25\,\mathrm{V} \) DC-DC コンバータの仕様

DC-DC コンバータの仕様ですが、入力は AC アダプタからなので、入力電圧は \( 17.3\,\mathrm{V} \) から \( 18.5\,\mathrm{V} \) の範囲にします。

出力電圧は FA-130RA のモーターを動作させる電圧なので、\( 1.25\,\mathrm{V} \) 固定にします。

出力電流は、1 つのモーターで \( 400\,\mathrm{mA} \) くらい消費することを考慮して、余裕をもたせて \( 1\,\mathrm{A} \) にしました。

使用するパーツ(特にインダクタとキャパシタ)の誤差により、定格ギリギリまで出力できるとは限らないので、出力電流は 20% 以上の余裕をもたせておいたほうがいいかなと個人的には思います。

\( 1.25\,\mathrm{V} \) DC-DC コンバータ回路図

では、回路図を作ってみました。

schematic-3.png

基本的には MC34063 のデータシートに載っている降圧回路の外部トランジスタを MOS-FET に代えているだけです。

見た感じ、ちょっと複雑ですが、やってることは実は結構簡単で、入力電流をこまぎれにして、それをならして降圧するというやり方です。

なので、入力電流をこまぎれにする部分と、ならす部分に大きく分かれます。


ちなみに、こまぎれにする部分が左上のあたりの一番複雑な部分なんですが、簡単にいうと、MOS-FET \( Q_1 \) を ON/OFF させてこまぎれにしてます。

それを、左下のインダクタ・キャパシタ・ダイオードでならして出力します。

詳しい動作は省略するので、知りたい人はスイッチング電源の本とか見てください。

ちなみに、インダクタ \( L_1 \) の記号が端子の記号になってますが、これは基板には端子だけ配置して、後からインダクタを接続できるようにするためです。


さっき端折ったこまぎれにする部分ですが、なぜこんなに複雑になっているかというと、普通のトランジスタ (BJT) ではなく、MOS-FET をつけているというのと、入力電圧がゲート電圧の定格を超えているという 2 つの理由からです。

ここも詳しい説明は省略しますが、MC34063 は外部に普通のトランジスタ (BJT) を接続することを想定して作られているので、MOS-FET をそのままつけると、たぶんうまく動かないです。BJT はベース電流を流すか止めるかで制御するのに対して、MOS-FET はゲート容量の充放電の向きで制御するからです。

MC34063 の SWC 端子は電流の吸い込み(ゲートの放電)はできますが、電流の吐き出し(ゲートの充電)はできません。なので、ゲート容量の充放電のためのルートを別途作ってやる必要があって、それが左上の \( Q_2 \) 付近です。

あと、AO3401A のゲート定格電圧は \( -12\,\mathrm{V} \) なので、定格を超えないようにするため、\( 10\,\mathrm{V} \) のツェナーダイオード \( Z_1 \) をいれてます。


あと、細かいところをいうと、\( C_1 \) が入力電流の平滑化のためのキャパシタ、

\( R_\mathrm{SC} \) は MC34063 の過電流保護回路を働かせるための電流検出抵抗、

\( C_T \) は、こまぎれにする周期を指定するタイミングキャパシタです。

あまりこういうことを言うのはなんですが、MC34063 は結構アバウトな仕組みになっているので、トランジスタの定格さえ守っていれば、他のパーツのパラメータが多少ずれていても、そこそこ動きます。

ユニバーサル基板上のレイアウトはこんな感じです。

univ-layout-1.png

パラメータ計算式

電源の仕様が決まったので、各パーツのパラメータを計算して決める必要があります。

計算式はデータシートに載ってますが、いちいち計算すると面倒なので、表計算シートを作って簡単に計算できるようにしてます。

左側が仕様で、右側が計算して出したパーツのパラメータです。

params.png

\( V_\mathrm{sat} \) はスイッチング素子の端子間電圧で、BJT を想定しているので『飽和電圧 (saturation)』って書かれてますが、今回は MOS-FET を使うので ON 抵抗と電流量から計算しました。

\( V_F \) はダイオードの端子間電圧で、これも電流量とデータシートのグラフから求めました。

あとは、入力電圧はそのままで、出力電圧・電流もさっき決めたものですね。

\( f_\mathrm{min} \) はスイッチング周波数で、なんか切りが悪い数値なのは、タイミングキャパシタのキャパシタンスをキリのいい値にするためです。

\( V_\mathrm{ripple} \) は出力の電圧のブレを表すもので、もちろん少ないほうが優秀なわけですが、今回はモーターを駆動させるだけなので適当でいいです。なので、これも \( C_O \) をキリのいい値にするために、適当に設定しました。


計算した結果、タイミングキャパシタが \( 150\,\mathrm{pF} \), インダクタンスが \( 30\,\mathrm{\mu H} \), \( C_O \)\( 100\,\mathrm{\mu F} \) です。

今回はインダクタも手巻きしようと思ってるので、巻数とか、磁気飽和しないかどうかの計算もしてます。

結果、この T50-26 というコアだったら、32 回巻けばよくて、磁気飽和もしないということが分かりました。

t50-26.jpg

定格計算 1

定格計算ですが、量が多いので、重要なところだけ説明します。

名前 定格 説明
名前 定格 説明
MC34063
\(\boldsymbol{V_{CC}}\)\(\boldsymbol{40.0\,\mathrm{V}}\)\(\boldsymbol{18.5\,\mathrm{V}}\)MC34063 の定格電圧
\(\boldsymbol{I_\mathrm{SW}}\)\(\boldsymbol{1.50\,\mathrm{A}}\)\(\boldsymbol{335\,\mathrm{\mu A}}\)MC34063 の内部 BJT の定格電流
\(\boldsymbol{R_\mathrm{PU}}\)
\(\boldsymbol{I_{R_\mathrm{PU}}}\)\(\boldsymbol{100\,\mathrm{\mu A}}\)放電時の \(\boldsymbol{R_\mathrm{PU}}\) の電流
\(\boldsymbol{P_{R_\mathrm{PU}}}\)\(\boldsymbol{125\,\mathrm{mW}}\)\(\boldsymbol{1.00\,\mathrm{mW}}\)放電時の \(\boldsymbol{R_\mathrm{PU}}\) の消費電力
\(\boldsymbol{C_T}\)
\(\boldsymbol{V_{C_T \mathrm{(max)}}}\)\(\boldsymbol{50.0\,\mathrm{V}}\)\(\boldsymbol{18.5\,\mathrm{V}}\)\(\boldsymbol{C_T}\) の最大電圧
\(\boldsymbol{C_1}\)
\(\boldsymbol{V_{C_1 \mathrm{(max)}}}\)\(\boldsymbol{25.0\,\mathrm{V}}\)\(\boldsymbol{18.5\,\mathrm{V}}\)\(\boldsymbol{C_1}\) の最大電圧
\(\boldsymbol{C_O}\)
\(\boldsymbol{V_{C_O \mathrm{(max)}}}\)\(\boldsymbol{16.0\,\mathrm{V}}\)\(\boldsymbol{1.30\,\mathrm{V}}\)\(\boldsymbol{C_O}\) の最大電圧
\(\boldsymbol{D_2}\)
\(\boldsymbol{I_{D2 \mathrm{(max)}}}\)\(\boldsymbol{3.00\,\mathrm{A}}\)\(\boldsymbol{1.00\,\mathrm{A}}\)\(\boldsymbol{D_2}\) の最大電流
\(\boldsymbol{V_{D2,K \mathrm{(max)}}}\)\(\boldsymbol{40.0\,\mathrm{V}}\)\(\boldsymbol{18.5\,\mathrm{V}}\)\(\boldsymbol{D_2}\) カソードの最大電圧
\(\boldsymbol{P_{D2 \mathrm{(max)}}}\)\(\boldsymbol{350\,\mathrm{mW}}\)\(\boldsymbol{D_2}\) の消費電力
\(\boldsymbol{\Delta T_{J(D2)}}\)\(\boldsymbol{14.0\,\mathrm{{}^\circ C }}\)\(\boldsymbol{D_2}\) の PN 接合の上昇温度
\(\boldsymbol{T_{J(D2)}}\)\(\boldsymbol{125\,\mathrm{{}^\circ C }}\)\(\boldsymbol{54.0\,\mathrm{{}^\circ C }}\)\(\boldsymbol{D_2}\) の PN 接合の温度
スイッチング速度
\(\boldsymbol{t_\mathrm{sw}}\)\(\boldsymbol{224\,\mathrm{ns}}\)スイッチング速度
\(\boldsymbol{t_\mathrm{sw(rate)}}\)\(\boldsymbol{5.00\,\mathrm{\%}}\)\(\boldsymbol{0.54\,\mathrm{\%}}\)周期におけるスイッチング速度の割合
ゲートキャパシタの自然放電
\(\boldsymbol{t_\mathrm{dis(self)}}\)\(\boldsymbol{645\,\mathrm{\mu s}}\)自然放電にかかる時間
\(\boldsymbol{L_1}\)
\(\boldsymbol{I_{L1 \mathrm{(on,peak)}}}\)\(\boldsymbol{2.00\,\mathrm{A}}\)ON 時に \(\boldsymbol{L_1}\) に流れるピーク電流
\(\boldsymbol{I_{L1 \mathrm{(on,avg)}}}\)\(\boldsymbol{1.30\,\mathrm{A}}\)\(\boldsymbol{1.00\,\mathrm{A}}\)ON 時に \(\boldsymbol{L_1}\) に流れる平均電流
\(\boldsymbol{I_{L1 \mathrm{(off)}}}\)\(\boldsymbol{1.30\,\mathrm{A}}\)\(\boldsymbol{1.00\,\mathrm{A}}\)OFF 時に \(\boldsymbol{L_1}\) に流れる電流
\(\boldsymbol{N}\)\(\boldsymbol{32.0\,\mathrm{}}\)巻数
\(\boldsymbol{R_\mathrm{SC}}\)
\(\boldsymbol{I_{R_\mathrm{SC} \mathrm{(peak)}}}\)\(\boldsymbol{2.00\,\mathrm{A}}\)\(\boldsymbol{R_\mathrm{SC}}\) に流れるピーク電流
\(\boldsymbol{I_{R_\mathrm{SC} \mathrm{(pulse,avg)}}}\)\(\boldsymbol{1.00\,\mathrm{A}}\)\(\boldsymbol{R_\mathrm{SC}}\) に流れるパルス平均電流
\(\boldsymbol{I_{R_\mathrm{SC} \mathrm{(avg)}}}\)\(\boldsymbol{89.9\,\mathrm{mA}}\)\(\boldsymbol{R_\mathrm{SC}}\) に流れる平均電流
\(\boldsymbol{P_{R_\mathrm{SC} \mathrm{(avg)}}}\)\(\boldsymbol{125\,\mathrm{mW}}\)\(\boldsymbol{808\,\mathrm{\mu W}}\)\(\boldsymbol{R_\mathrm{SC}}\) の平均消費電力
出力電圧低下
\(\boldsymbol{V_\mathrm{OUT(real)}}\)\(\boldsymbol{1.45\,\mathrm{V}}\)実際の出力電圧
\(\boldsymbol{V_{D_3}}\)\(\boldsymbol{450\,\mathrm{mV}}\)\(\boldsymbol{D_3}\) の電圧降下
\(\boldsymbol{I_{D_3}}\)\(\boldsymbol{600\,\mathrm{mA}}\)\(\boldsymbol{D_3}\) の電流量
\(\boldsymbol{P_{D_3}}\)\(\boldsymbol{270\,\mathrm{mW}}\)\(\boldsymbol{D_3}\) の消費電力
\(\boldsymbol{\Delta T_{J(D3)}}\)\(\boldsymbol{13.5\,\mathrm{{}^\circ C }}\)\(\boldsymbol{D_3}\) の PN 接合上昇温度
\(\boldsymbol{T_{J(D3)}}\)\(\boldsymbol{125\,\mathrm{{}^\circ C }}\)\(\boldsymbol{53.5\,\mathrm{{}^\circ C }}\)\(\boldsymbol{D_3}\) の PN 接合温度

最初のほうは、電源電圧と定格電圧をくらべるくらいなので省略します。


平滑化で使用するダイオード \( D_2 \) ですが、最大電流は \( 1\,\mathrm{A} \), 端子間電圧は \( 0.35\,\mathrm{V} \) なので、消費電力は \( 0.35\,\mathrm{W} \)

熱抵抗値を考えると、周辺温度 \( 40\,\mathrm{^\circ C} \) のときの \( D_2 \) の温度は \( 54\,\mathrm{^\circ C} \), 定格温度が \( 125\,\mathrm{^\circ C} \) なので OK です。


次に MOS-FET のスイッチング速度ですが、MOS-FET が ON になるのに必要な時間が \( 116\,\mathrm{ns} \), OFF になるのに必要な時間が \( 108\,\mathrm{ns} \), 併せて \( 224\,\mathrm{ns} \) です。

今回の回路のスイッチング周波数は \( 23900\,\mathrm{Hz} \) なので周期は \( 42\,\mathrm{\mu s} \), 周期におけるスイッチング時間の割合は \( 0.54\,\% \) です。

この値が大きくなると、効率が悪くなりますし、MOS-FET での損失が大きくなって MOS-FET が壊れる可能性もあるのですが、今回は十分だと思います。

定格計算 2 (OFF 時)

名前 定格 説明
名前 定格 説明
\(\boldsymbol{Q_2}\)
\(\boldsymbol{I_{B2 \mathrm{(peak)}}}\)\(\boldsymbol{1.73\,\mathrm{mA}}\)ベース電流のピーク値
\(\boldsymbol{P_{R_B \mathrm{(peak)}}}\)\(\boldsymbol{125\,\mathrm{mW}}\)\(\boldsymbol{29.8\,\mathrm{mW}}\)\(\boldsymbol{R_B}\) の消費電力のピーク値
\(\boldsymbol{V_{CE2 \mathrm{(max)}}}\)\(\boldsymbol{45.0\,\mathrm{V}}\)\(\boldsymbol{10.0\,\mathrm{V}}\)C-E 間の端子間最大電圧
ゲートキャパシタの充電
\(\boldsymbol{R_{G1 \mathrm{(chg,tot)}}}\)\(\boldsymbol{17.8\,\mathrm{\Omega}}\)充電時の総抵抗値
\(\boldsymbol{t_\mathrm{chg}}\)\(\boldsymbol{74.7\,\mathrm{ns}}\)\(\boldsymbol{V_\mathrm{IN} – 0.5\,\mathrm{V}}\) までの充電時間
\(\boldsymbol{I_{G1 \mathrm{(chg,avr)}}}\)\(\boldsymbol{335\,\mathrm{\mu A}}\)充電時の平均電流
\(\boldsymbol{I_{G1 \mathrm{(chg,pulse)}}}\)\(\boldsymbol{188\,\mathrm{mA}}\)充電時のパルス平均電流
\(\boldsymbol{I_{G1_\mathrm{(chg,peak)}}}\)\(\boldsymbol{562\,\mathrm{mA}}\)充電時のピーク電流
\(\boldsymbol{t_\mathrm{toff}}\)\(\boldsymbol{116\,\mathrm{ns}}\)ターンオフ時間
\(\boldsymbol{t_\mathrm{toff(rate)}}\)\(\boldsymbol{5.00\,\mathrm{\%}}\)\(\boldsymbol{3.08\,\mathrm{\%}}\)ON 時間に対するターンオフ時間の割合
\(\boldsymbol{Q_2}\) の C-E 間定格
\(\boldsymbol{V_{CE2 \mathrm{(sat)}}}\)\(\boldsymbol{170\,\mathrm{mV}}\)\(\boldsymbol{I_{CE} \approx 600\,\mathrm{mA}}\) 付近の C-E 間飽和電圧
\(\boldsymbol{I_{CE2 \mathrm{(peak)}}}\)\(\boldsymbol{800\,\mathrm{mA}}\)\(\boldsymbol{562\,\mathrm{mA}}\)充電時のピーク電流
\(\boldsymbol{P_{C2 \mathrm{(peak)}}}\)\(\boldsymbol{625\,\mathrm{mW}}\)\(\boldsymbol{95.5\,\mathrm{mW}}\)充電時のピーク消費電力
\(\boldsymbol{P_{C2 \mathrm{(avg)}}}\)\(\boldsymbol{625\,\mathrm{mW}}\)\(\boldsymbol{5.11\,\mathrm{\mu W}}\)平均消費電力
\(\boldsymbol{\Delta T_{J (Q2)}}\)\(\boldsymbol{1.02\,\mathrm{m{}^\circ C }}\)PN 接合の平均上昇温度
\(\boldsymbol{T_{J (Q2)}}\)\(\boldsymbol{150\,\mathrm{{}^\circ C }}\)\(\boldsymbol{40.0\,\mathrm{{}^\circ C }}\)気温 \(\boldsymbol{40\,\mathrm{{}^\circ C}}\) での PN 接合の温度
\(\boldsymbol{Q_2}\) の B-E 間定格
\(\boldsymbol{V_{E2 \mathrm{(min)}}}\)\(\boldsymbol{17.3\,\mathrm{V}}\)エミッタ電圧の最小値
\(\boldsymbol{V_{EB2 \mathrm{(max)}}}\)\(\boldsymbol{5.00\,\mathrm{V}}\)\(\boldsymbol{1.20\,\mathrm{V}}\)E-B 間電圧
\(\boldsymbol{R_{GC}}\)
\(\boldsymbol{I_{R_{GC} \mathrm{(avr)}}}\)\(\boldsymbol{335\,\mathrm{\mu A}}\)\(\boldsymbol{R_{G_C}}\) の平均電流
\(\boldsymbol{P_{R_{GC} \mathrm{(avr)}}}\)\(\boldsymbol{250\,\mathrm{mW}}\)\(\boldsymbol{101\,\mathrm{nW}}\)\(\boldsymbol{R_{G_C}}\) の平均消費電力
\(\boldsymbol{Q_1}\) の D-S 間定格
\(\boldsymbol{V_{S1 \mathrm{(max)}}}\)\(\boldsymbol{18.5\,\mathrm{V}}\)ソース端子の最大電圧
\(\boldsymbol{V_{D1 \mathrm{(max)}}}\)\(\boldsymbol{0.00\,\mathrm{V}}\)ドレイン端子の最小電圧
\(\boldsymbol{V_{DS1 \mathrm{(max)}}}\)\(\boldsymbol{-30\,\mathrm{V}}\)\(\boldsymbol{-18\,\mathrm{V}}\)D-S 間の最大端子間電圧

次に、MOS-FET が OFF の時の定格計算です。

MOS-FET の定格だけ説明します。

D-S 間の最大端子間電圧は電源電圧の \( -18.5\,\mathrm{V} \) で、定格が \( -30\,\mathrm{V} \) なので OK です。

定格計算 3 (ON 時)

名前 定格 説明
名前 定格 説明
ゲートキャパシタの放電
\(\boldsymbol{V_\mathrm{dis(rest)}}\)\(\boldsymbol{1.55\,\mathrm{V}}\)放電時に \(\boldsymbol{D_1}\) と SWC 端子にかかる電圧の和
\(\boldsymbol{R_{G1 \mathrm{(dis,tot)}}}\)\(\boldsymbol{228\,\mathrm{\Omega}}\)放電時の総抵抗値
\(\boldsymbol{t_\mathrm{dis45}}\)\(\boldsymbol{102\,\mathrm{ns}}\)\(\boldsymbol{-4.5\,\mathrm{V}}\) 放電時の時間
\(\boldsymbol{t_\mathrm{dis}}\)\(\boldsymbol{299\,\mathrm{ns}}\)\(\boldsymbol{-10\,\mathrm{V}}\) 放電時の時間
\(\boldsymbol{I_{G1 \mathrm{(dis,avg)}}}\)\(\boldsymbol{335\,\mathrm{\mu A}}\)放電時の平均電流
\(\boldsymbol{I_{G1 \mathrm{(dis,pulse)}}}\)\(\boldsymbol{46.9\,\mathrm{mA}}\)放電時のパルス平均電流
\(\boldsymbol{I_{G1 \mathrm{(dis,peak)}}}\)\(\boldsymbol{74.4\,\mathrm{mA}}\)放電時のピーク電流
\(\boldsymbol{t_\mathrm{ton}}\)\(\boldsymbol{108\,\mathrm{ns}}\)ターンオン時間
\(\boldsymbol{t_\mathrm{ton(rate)}}\)\(\boldsymbol{5.00\,\mathrm{\%}}\)\(\boldsymbol{2.89\,\mathrm{\%}}\)ON 時間に対するターンオン時間の割合
\(\boldsymbol{R_{GD}}\)
\(\boldsymbol{V_{R_{GD}}}\)\(\boldsymbol{6.45\,\mathrm{V}}\)放電時の \(\boldsymbol{R_{DB}}\) の端子間電圧
\(\boldsymbol{I_{R_{GD}}}\)\(\boldsymbol{29.3\,\mathrm{mA}}\)放電時の電流量
\(\boldsymbol{R_{R_{GD} \mathrm{(max)}}}\)\(\boldsymbol{189\,\mathrm{mW}}\)放電時の消費電力
\(\boldsymbol{R_{R_{GD} \mathrm{(avg)}}}\)\(\boldsymbol{250\,\mathrm{mW}}\)\(\boldsymbol{17.0\,\mathrm{mW}}\)平均消費電力
\(\boldsymbol{Z_1}\)
\(\boldsymbol{I_{Z1 \mathrm{(max)}}}\)\(\boldsymbol{29.3\,\mathrm{mA}}\)導通時の \(\boldsymbol{Z_1}\) の最大電流
\(\boldsymbol{P_{Z1 \mathrm{(max)}}}\)\(\boldsymbol{500\,\mathrm{mW}}\)\(\boldsymbol{293\,\mathrm{mW}}\)導通時の最大消費電力
\(\boldsymbol{P_{Z1 \mathrm{(avg)}}}\)\(\boldsymbol{500\,\mathrm{mW}}\)\(\boldsymbol{26.4\,\mathrm{mW}}\)平均消費電力
\(\boldsymbol{D_1}\)
\(\boldsymbol{I_{D1 \mathrm{(max)}}}\)\(\boldsymbol{4.00\,\mathrm{A}}\)\(\boldsymbol{29.3\,\mathrm{mA}}\)放電時の最大電流
\(\boldsymbol{P_{D1 \mathrm{(avg)}}}\)\(\boldsymbol{2.24\,\mathrm{mW}}\)平均消費電力
\(\boldsymbol{\Delta T_{J(D1)}}\)\(\boldsymbol{672\,\mathrm{m{}^\circ C }}\)PN 接合の平均上昇温度
\(\boldsymbol{T_{J(D1)}}\)\(\boldsymbol{175\,\mathrm{{}^\circ C }}\)\(\boldsymbol{40.7\,\mathrm{{}^\circ C }}\)PN 接合の平均温度
\(\boldsymbol{Q_1}\)
\(\boldsymbol{I_{DS1 \mathrm{(max)}}}\)\(\boldsymbol{-3.2\,\mathrm{A}}\)\(\boldsymbol{-2.0\,\mathrm{A}}\)D-S 間の最大電流
\(\boldsymbol{I_{DS1 \mathrm{(avg,pulse)}}}\)\(\boldsymbol{-1.0\,\mathrm{A}}\)D-S 間のパルス平均電流
\(\boldsymbol{P_{D1 \mathrm{(pulse,avg)}}}\)\(\boldsymbol{900\,\mathrm{mW}}\)\(\boldsymbol{3.60\,\mathrm{mW}}\)平均消費電力
\(\boldsymbol{\Delta T_{J(Q1)}}\)\(\boldsymbol{450\,\mathrm{m{}^\circ C }}\)PN 接合の平均上昇温度
\(\boldsymbol{T_{J(Q1)}}\)\(\boldsymbol{150\,\mathrm{{}^\circ C }}\)\(\boldsymbol{40.4\,\mathrm{{}^\circ C }}\)PN 接合の平均温度
\(\boldsymbol{R_B}\)
\(\boldsymbol{V_{R_B}}\)\(\boldsymbol{6.45\,\mathrm{V}}\)放電時の \(\boldsymbol{R_B}\) の端子間電圧
\(\boldsymbol{I_{R_B}}\)\(\boldsymbol{645\,\mathrm{\mu A}}\)放電時のベース電流
\(\boldsymbol{P_{R_B}}\)\(\boldsymbol{125\,\mathrm{mW}}\)\(\boldsymbol{4.16\,\mathrm{mW}}\)放電時の消費電力

最後に MOS-FET が ON の時の定格です。

D-S 間の最大電流は \( -2\,\mathrm{A} \) ですがノコギリ波になるので平均はその半分の \( -1\,\mathrm{A} \), ON 抵抗が \( 40\,\mathrm{m\Omega} \), duty 比が 9% なので、平均の消費電力は \( 3.6\,\mathrm{mW} \) になります。

熱抵抗値から計算した温度は \( 40.5\,\mathrm{^\circ C} \), 定格が \( 150\,\mathrm{^\circ C} \) なので余裕で OK です。

作製・テスト

以下、作製風景です。詳しくは動画をみてください。

video1-6.jpg

↑ インダクタをひたすら巻きます。

video2-6.jpg

↑ パーツをはんだづけします。

video3-6.jpg

↑ 動作確認をするも、なぜか出力電圧が仕様より高い……。

出力電圧が高い……

なぜか、出力電圧が \( 1.45\,\mathrm{V} \) 付近と高くなってしまってます。

出力をそのままフィードバックしているので大丈夫なはずなんですが、何か問題があるのか……。

調整もできないように仕組みにしてしまったので、1N5819 というショットキ・バリア・ダイオードを順方向にいれて、0.数ボルトだけ電圧降下させることにします。

簡単に定格計算したんですが、大丈夫そうです。

まとめ

はい、では今回はここまでにしようと思います。

予定がくるって、放熱ファンを作ることになってしまいましたが、次回こそは LED の明るさ調整回路を作ろうと思います。

では、ここまで見てくれてありがとうございました。よかったら動画もみてください。

      2019/09/18

 - 電子工作