MC34063 を使ってスイッチング定電流回路を作ってみる Part 3/4 実験編【電子工作・実験】
注意: この実験は最終的に失敗します。いろいろ勉強できることが多かったので記事として投稿しますが、参考にする場合には注意してください。
どうも、ゼロ・インピーダンスの Kenn です。
今回は、MC34063 を使ったスイッチング式定電流回路の実験動画の第 3 回です。以前の記事を見ていないのであれば、ぜひ最初から見てください。
前回は、仕様を決めて、回路図を設計するところまでやりました。
今回は、回路を作って、実験をするところまでやっていきます。
シミュレーション
いきなり実験でもいいんですが、本当にうまくいくかだいぶ怪しいというのと、オシロスコープを持っていないので詳しい確認ができないということもあって、LTSpice で簡単にシミュレーションをしてみようと思います。
回路図はこんな感じです。
シミュレーションがエラーで止まったりしたので、ちょっと抵抗の値とかは変えてますか、基本的には前回の動画でみせた回路図とほぼ同じなんで説明は省略します。
これをシミュレーションしてみて、LED を流れる電流と、7 倍増幅器の出力電圧あたりを確認してみます。
シミュレーション: 結果
見た感じ、うまくいってるように見えますね。
最初、電流が流れなくて、途中から一気に増えるのは、出力のキャパシタ \( C_O \) の充電に時間がかかっているからで、時間も \( 4\,\mathrm{ms} \) くらいで完了してるんで、まったく問題ないと思います。
では、実際にブレッドボードで回路を作ってみます。
回路の試作
以降は、回路の作製風景です。詳しくは動画を見てください。
↑ \( R_\mathrm{LMT} \) で電流制限し、LED を点灯させてみます。
↑ 電流検出抵抗の端子間電圧は \( 169\,\mathrm{mV} \) でした。
↑ 7 倍増幅回路の出力は \( 1162\,\mathrm{mV} \) でした。\( 7 \times 169\,\mathrm{mV} = 1183\,\mathrm{mV} \) なのでかなり正確
↑ スイッチング DC-DC 定電流回路を作製します。
↑ 2 つの回路をくっつけました。
実験: 定電流確認 手順
まず最初の実験ですが、定電流になっているかどうかを確認します。
いまは LED と直列に半固定抵抗 \( R_\mathrm{LMT} \) が入っているので、電流制限されてますが、抵抗値を徐々に下げていって電流量がどうなるかを測定します。
手順は、こんな感じです。
- \( R_\mathrm{LMT} = 85\,\mathrm{\Omega} \) に設定する。
- 電流計を設置する。
- 電源を ON にする。
- (たぶん、電流は \( 18\,\mathrm{mA} \) より少ないはず)
- \( R_\mathrm{LMT} \) を徐々に小さくし、\( I_F \le 18\,\mathrm{mA} \) を確認する。
- \( R_\mathrm{LMT} \) を取り外しても、\( I_F = 18\,\mathrm{mA} \) を確認する。
実験: 定電流確認
以下、実験風景です。詳しくは動画をみてください。
↑ まず普通に電源をいれます。\( R_\mathrm{LMT} \) があるから \( 18\,\mathrm{mA} \) は超えません。
↑ \( R_\mathrm{LMT} \) を徐々に下げていきます。\( I_F \) も徐々に増えていきました。
↑ \( R_\mathrm{LMT} = 0\,\mathrm{\Omega} \) にしても、\( I_F = 18\,\mathrm{mA} \) 付近で止まりました!!
↑ \( R_\mathrm{LMT} \) を外しても定電流制御されてます。成功です。
はい、うまくいってましたね。
なんかあっさりといきすぎて、なんかとんでもないミスしてんじゃないかって逆に怖いくらいなんだけど、大丈夫だよね。
実験: オープンモード故障 手順
一応、ここまでの実験で目的は達成されたんですが、念のため、安全性の確認もしておきます。
LED が壊れたり、配線が切れたり外れたりして、オープン状態になった場合、つまり電流がまったく流れなくなった場合に、出力電圧が異常にならないかどうかを確認します。
具体的にいうと、出力電圧が電源電圧以上にならなければ OK です。
「電源電圧以上になるわけないじゃん」と思うかもしれないけど、スイッチング電源には昇圧回路というのもあって、昇圧の定電流回路だと、出力がオープンになると出力電圧が無限に上がって、たぶんキャパシタが破裂します。
今回の回路は降圧タイプの定電流回路なので、オープンになっても電源電圧以上にならないはずなんですが、本当に大丈夫かを念のため確認します。
手順は、こんな感じです。
- \( I_F = 18\,\mathrm{mA} \) に設定する。
- 電源を OFF にする。
- LED を取り外す。
- 電源を ON にする。
- 出力電圧 \( V_{C_O} \) が \( 5\,\mathrm{V} \) を超えないことを確認する。
実験: オープンモード故障
以下、実験風景です。詳しくは動画をみてください。
↑ 普通に電流を流している状態で、(ちょっと少ないですが)
↑ 出力電圧を測定します。\( V_F = 3.3\,\mathrm{V} \) なので想定どおりです。
↑ LED を取り外して(オープン状態にして)、
↑ 出力電圧を測定します。
はい、\( 5\,\mathrm{V} \) を超えてないので大丈夫です。
これは理論上大丈夫ってことは分かってたので、予想どおりでした。
まとめ
はい、でほここまでで分かったことは、
MC34063 を使ってスイッチング方式の定電流回路を作れる!!
今回の実験では、\( 3\,\mathrm{mm} \) 砲弾型 LED を 1 つだけつかう構成でしたが、大電流の LED を複数直列にしても動作すると思うので、実用できるでしょう。
LED を使った、とある工作をしようと思っていたので、その時はこの回路を使うつもりです。
あと、マイクロインダクタも定電流回路に使えるということが分かりましたね。
インダクタのピーク電流は出力電流の 2 倍ですが、平均電流は出力電流とほぼ等しいことが分かったので、\( 120\,\mathrm{mA} \) の LED でも使えそうな気がします。
これは 0307 というサイズのマイクロインダクタのデータシートですが、\( 150\,\mathrm{\mu H} \) 以下のインダクタだったら \( 120\,\mathrm{mA} \) 流す用途にも使えそうです。
もう少し大きくて流せる電流も多い 0410 というタイプのマイクロインダクタを買おうかと思ってたんですが、0307 でもいいかもしれないですね。
さいごに
はい、では MC34063 を使ったスイッチング方式の定電流回路の実験は、今回で終わりです。
といいたいところなんですが、実は、とんでもないことが起こってしまったので、もう 1 回だけ続きます。
「実験終わったのに何をやるのか?」って話なんですが、記事の最初に注意表示してたので薄々気づいている人もいると思いますが……。
では、ここまで見てくれてありがとうございました。
よかったら、動画も見てください。
2020/01/19