プリント基板 (PCB) を自作してみた(オキシドール・クエン酸・食塩を使った方法) Part 1/2 準備編【電子工作・実験】
はい、今回も始まりました電子工作実験 実況風動画、『プリント基板を自作してみる』第 1 回!!
ゼロ・インピーダンスの Kenn がお送りします。
『プリント基板の自作は電子工作愛好者の夢である』かどうかは分かりませんが、あながち間違いではないかも?
ということで、簡単に入手できる材料でプリント基板を自作するっていう実験をやっていきます。
電子工作と基板
この記事を見てくれている人の中には「プリント基板とか、ちょっとよく分かんないよ」という人もいると思うんですが、全然大丈夫です。
だって僕もプリント基板を見たことないですから。
『不安しかない』
それはともかく、基板について簡単に説明しておこうと思います。
電子回路を作るときには、パーツを板の上に載せてから、はんだづけをして固定するっていう手順を踏むんですが、この板のことを基板と呼びます。
この『基板』の種類が、大きく分けて 2 種類あるんですね。
ただ実際には、『プリント基板』という言い方よりは、PCB と呼ばれることのほうが多いかな?
この動画作るために、ちょっと調べたんですけど、プリント基板自体は PWB って呼ぶのが正式らしいですね。これは知らなかった。
PWB にパーツをはんだづけすると PCB になるんですって。
PWB っていう言い方はほとんどの人に馴染みがないと思うので(僕も含めてね)、この動画ではプリント基板と呼ぶことにします。
ユニバーサル基板
ユニバーサル基板にはこういう感じに、最初から穴が等間隔に開いてて、裏側には、パーツをはんだづけするための、丸い銅の板がついてます。
銅箔っていったりします。
最初から穴があいてるのでパーツをつけてはんだづけするのは簡単なんですけど、パーツ同士の配線を自分でやらないといけないんですよ。これが、結構大変なの。
次図はむかし僕がユニバーサル基板で作った回路なんですけど、表はこんな感じで、そこそこ綺麗にみえると思うんですけど、
裏は配線のせいで結構きたないんですよね。これは本当は見せたくなかった。
もちろん、これは僕が下手だからってのもあるんですけど、パーツの固定と配線を同時にやらないといけないので、たぶん誰がやっても、ある程度はきたなくはなります。
なると言ってほしい。
配線は面倒なんだけど、自分で配線するわけだから自由度は高くて、いろんな用途に使えるので、量産されてて、結構安く買えるし、入手性もかなりいいです。
個人が趣味の電子工作をするときとか、研究室とかで実験用の回路を作るときとかによく使われてる基板です。
たた欠点も当然あって、1 つは、さっきいったように、配線を自分でやらないといけなくて面倒くさいってことなんですが、そのほかにも、表面実装タイプのパーツを取り付けられないっていう欠点もあるんですね。
- 表面実装っては何かというと、ユニバーサル基板につけることができる、こういうパーツは
足を基板の表側から穴に差し込んで、裏側ではんだづけするんですが、
これとは別に、足の短いタイプのパーツもあって、
基板の表面に載せて、そのまま表面からはんだづけするんですよ。
こういうタイプのパーツのことを、基板の表面に実装するから、表面実装タイプといいます。
表面実装タイプのパーツはサイズが小さすぎて、ユニバーサル基板に載せるのが難しいか、あるいは、まったくできません。
例えば、これはさっき見せた僕がむかし作った回路なんですけど、表面実装の抵抗器とかトランジスタなら、こんな感じに裏側にギリギリ載せられないこともないんですよ。
ただ、表面実装タイプの IC はピンの間隔が狭すぎて、ユニバーサル基板に載せるのはさすがに無理です。
有名な IC だったら、ユニバーサル基板用と表面実装用の両方があるので問題ないんですが、マイナーな IC だと表面実装タイプのものしかないってこともあるんですよ。
例えば、上の写真は TP4056 という IC で、リチウムイオン電池を充電するための IC なんですが、表面実装タイプしかないので、ユニバーサル基板では使えません。
プリント基板 (PCB, PWB)
ユニバーサル基板は自分で配線しないといけなかったんですけど、プリント基板は、配線が最初からされている基板のことです。
これはフリー素材の画像なんですが、薄い緑の部分が銅箔の配線で、パーツは小さいけども、載せてはんだづけするだけでいいので、実装自体は意外と楽だったりするらしいです。
細かい配線も作れるので、もちろん表面実装の IC も実装できます。
ただ、配線が最初からされてるということは、回路ごとに違う基板が必要なわけじゃないですか。
だから、プリント基板って基本、特注品なんですよ。
一応、個人で発注できるネットサービスもあるみたいですが、もともと量産用のものだから、少ない枚数で発注するとだいぶ割高になると思います。
- 趣味でやってる個人からすると、ユニバーサル基板でも、ちょっと配線が面倒なだけで大きな問題はないわけですよ。
- だから、個人がプリント基板を使う一番のメリットは、表面実装パーツを使えるってことだと思います。
工場とかで回路を量産する場合、いまは機械ではんだづけするので、表面実装タイプしかないパーツも増えてますし、両方あるパーツでも表面実装のほうが安かったりもするんですよ。
だから、個人の趣味で電子工作をする場合でも、表面実装パーツを扱えるようになっておいたほうがいいのかな、って最近ちょっと思うんですよね。
プリント基板を自作する方法
プリント基板を業者に発注するのは個人では難しいんだけど、でも朗報があります。
なんと、プリント基板を自作する方法がある。
らしい……。
表面が全部銅箔で被われた生基板というのものがあるんですよ。
ユニバーサル基板よりは入手は難しいと思うけども、AliExpress とかヤフオクとかで売られてますし、他にも電子工作の専門の店だったら、たぶん普通に売ってると思います。
ちなみに、生基板にも材質があるんだけど、紙フェノールという種類が加工しやすいらしいので、それを選んだ方がいいです。
プリント基板の作り方を簡単にいうと、
- まず生基板があって、
- それに配線パターンを印刷します。
- パターンが乗っていない要らない部分の銅箔を溶かします。
- 最後に、インクを薬品で落とします。
そうすると、パターンが描かれていた部分にだけ銅箔が残って、プリント基板ができあがるという仕組みです。
パターンを印刷する方法と、銅箔を溶かす方法にいくつかやり方があるらしいですね。
パターンの印刷
まずパターンの印刷ですが、結構、いろんなやり方があるっぽいです。
一番手軽なのは『油性ペンで直接手書きする』っていう方法だとと思うんですが、さすがにこれはいろいろ難しすぎて現実的ではないので思うので除外するとして、感光基板とか感光フィルムを使った方法は、特殊な基板とかフィルムと、特殊なツール必要で、入手もそんなに簡単ではなさそうなので、これも除外します。
ということで残りのヤツ、レーザープリンタで配線パターンを紙に印刷して、そのインクを基板に転写するという方法を使おうと思います。
実は、その転写の方法も大きく分けて 2 種類あって、
- 1 つが、アイロンで熱と圧力をかけて転写する方法
- もう 1 つが、アセトンという薬品でインクを溶かして転写する方法です。
今回やろうと思うのは、アセトンを使った方法です。
アセトンっていう薬品は聞きなれないかもしれないですけど、マニキュアの除光液に含まれているものなので、100 均で普通に買える身近なものです。
ただ、アセトンは爪に悪いとか、そういう話があるらしくて、アセトンが入ってない『アセトンフリー』っていう除光液が増えてきてます。
裏の成分表示を見て、アセトンが入っているやつを買ってください。
ただ、100 均だとアセトンフリーしかないってこともあって、実際僕も、ダイソーになくて、あまり有名じゃない 100 均から買ったことがあるんですよね。
どうしても入手できなければ、普通の化粧品売り場で買ってもいいわけだし、ホームセンターで純度 100% のアセトンを買うっていう手もあります。たぶん、塗料のコーナーにあるんじゃないかな。
次に、パターンを印刷する紙についての話なんですけど、いろんなブログを参考にしたんですよ。そしたら、結構いろんな紙を使ってて、普通のコピー用紙とか、光沢紙とか、カタログの紙とか、クッキングシートとかあるんですよ。
ちょっと見た感じ、カタログの用紙が結構よさそうだったんですよね。
なので、ウチにたまたまあったダイレクトメールの紙を A5 サイズに切ったものを使ってやってみようと思います。
銅箔の溶かし方
最後に、銅箔の溶かし方なんですけど、個人でできそうなヤツが、主に 2 つあるみたいですね。
両方とも薬品を使って溶かす方法で、
- 1 つが『塩化第二鉄』っていう薬品、
- もう 1 つが、オキシドールとクエン酸と食塩を混ぜた溶液
塩化第二鉄を使った方法が昔からやられてて、有名らしいんですけど、なんか『塩化第二鉄』って言われると、ちょっとビビっちゃうというか、「え、そんな凄そうな薬品使っちゃっていいスかね」みたいに気後れしちゃうっていうか、そんな感じないです?
実は普通に Amazon で買える薬品らしいんですけど、やっぱり馴染みがないので、とっつきにくいんですよ。
一方で、『オキシドールとクエン酸と食塩』、めちゃくちゃ身近じゃないですか。これ全部ダイソーで買えるやつですからね。もうね、ハードルの下がり方が尋常じゃない。
ということで、今回は明らかに手軽だと思われる、オキシドールとクエン酸と食塩を使う方法でやってみようと思います。
さいごに
残念ながら、ここでお時間がきてしまったようです。
今回はやり方を調べるところまでしかいけなかったんですけども、次回はいよいよ実験をやっていきます。お楽しみに。
ここまで見てくださった方、本当にありがとうございました。よかったら動画も見てください。
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では、また次回の記事でお会いしましょう。ゼロ・インピーダンスの Kenn がお送りしました。
2020/02/05