高輝度チップ LED のテストボードを作製する Part 1/2 設計編【電子工作】
どうも、ゼロ・インピーダンスの Kenn です。
今回は、高輝度 LED のテストボードを作っていきます。
動機・目的
最近、LED を使った照明を作ることが多いんだけど、定電流回路とか明るさ調整回路のテストに困ることが結構あるんですよね。
砲弾型 LED だったらブレッドボードに適当に差してテストすればいいんだけど、照明用に使うのはこういうチップタイプの LED なので、ブレッドボードでテストができない。
これまでは、いきなり本番の環境につないでテストしてたんだけど、配線の具合でテストしにくいことが多い上に、回路に問題がある状態でテストすると環境を壊してしまう可能性もある。
できれば回路だけでテストしたいわけです。
これからもチップ LED を使うことは多そうなので、テスト用のツールがあれば便利になるんじゃないかと思ったので作ってみます。
要件・仕様
実は、同時進行してる他のプロジェクトで早急に使いたいので、ツールはかなりシンプルにしようと思います。
要件は 2 つだけ。
直列 1 ~ 10 コまでのテスト
まず、直列で 1 コから 10 コまで、任意の個数の LED をテストできるということ。
作るものによって LED の個数が変わってくるので、いろいろなケースに対応できるようにします。
僕の場合、そんなに高圧を扱うことがなく、11 コ以上の直列にすることはまずないので、10 コあれば十分。
白と赤の LED のテストができる
2 つめは、白と赤の LED のテストができるようにすること。
僕が使う LED は白・赤・青の 3 色ぐらいです。
白は証明用、赤と青は植物栽培用のライトとして使うかもしれないと思ってる。(まだやったことないけど)
白と青は性質が同じなので、実質、白と赤の 2 種類がテストできれば十分。
完成品の紹介
これからの説明を分かりやすくするために、ちょっとだけ完成品の写真を見せます。
こういう箱型になっていて、ふたを開けると、中に 10 コの LED が直列になっている。
両側(写真では手前と奥)に 6 つの端子がついていて、それぞれが LED とつながっている。この端子に電源ケーブルを接続してテストします。
例えば、奥の左端の端子にプラスをつないで、奥の 4 つめの端子にマイナスをつなげば、3 つの直列のテストができます。テストしたい個数の端子に電源をつなぐことで、最大で 10 コまで、好きな個数でのテストができる仕組み。
画像は白色の LED のものですが、このほかに赤色の LED のものをもう 1 つ作ります。
設計: ボードレイアウト
テストボードのレイアウトはこんな感じ。
LED を 5 つずつ直列にして、それが 2 列ある。
右側にあるコネクタにジャンパケーブルを接続してショートさせれば、上と下の列がつながって、最大て 10 コの直列をテスト可能。
ショートさせていない場合は上下の列が絶縁されているので、それぞれ別に並列のテストもできる。
定電流回路とかはオペアンプの関係で 1 つの基板で 2 つの回路を作ったりするので、そういうときに役立つかも。
それぞれの LED から上下のコネクタに配線。
電源からの配線を差し込む位置を変えることで、テストする LED の個数を決めることができる。
放熱板
灰色の長方形はアルミホイルで、LED の放熱のために貼り付けます。
高輝度タイプの LED は発熱が大きいので、放熱対策をしないと壊れます。これは実験済。
今回はテスト用だから、長時間点灯させるわけでもなくて、放熱対策は要らないかな思ったんだけど、念のためつけます。アルミホイルを貼り付けるだけだから簡単だしね。
もしかしたら電源の耐久テストとかするかもしれないので、つけておくに越したことはないはず。
列結合の方法
右のコネクタはジャンパケーブルでショートさせるのではなくて、スライドスイッチを使って切り替えできるようにしようかと、最初は考えてました。
ただ、スライドスイッチだといまショートモードになっているかどうかが見た目で分かりにくいので、並列のテストをしようと思って上下の列にそれぞれ電源をつなげたら、実はショートモードになっていて大電流が流れてしまうという事故が発生してしまう可能性が結構あるかなと思ってやめました。
右のソケットとその上の LED の間にダイオードを入れて逆流を防ぐことも考えたんですが、ダイオードで零点数 \( \mathrm{V} \) の電圧降下が発生するのはテスト用のツールとしてはよろしくないので、やっぱりやめました。
コネクタを使った方法だと、『わざわざジャンパケーブルでショートさせる』というひと手間をかけないといけないので、うっかりやってしまうということはないはず、たぶん。
FreeCAD での設計
こんな感じに設計しました。途中経過と詳しい説明は動画を見てください。
パーツの選定
ケースの素材
ケースはいつものように、普通のダンボールで作ります。\( 5\,\mathrm{mm} \) 厚くらいのスーパーとかで無料でもらえるやつ。
ダンボールの上に直接配線とかしたりするけど、流す電流は最大で \( 120\,\mathrm{mA} \) 程度だし、テストの時にしか使わないものなので、別に危険はないかなと思います。
LED
LED は白と赤の 2 種類を使います。
両方とも表面実装タイプのもので、白は順方向電圧が \( 3.3\,\mathrm{V} \), 最大電流が \( 120\,\mathrm{mA} \) のもの、赤はちょっと小さめで、順方向電圧が \( 2.2\,\mathrm{V} \), 最大電流が \( 60\,\mathrm{mA} \) のもの。
中国通販サイトの AliExpress から買ったもので、1 コ 1 円以下で買えるやつ。
テープから取り出したものが、これです。
配線
LED と LED をつなぐ配線は、銅箔テープを使います。
裏側に接着剤がついためちゃくちゃ薄い銅のテープで、表面実装タイプの LED をダンボールにくっつけるときには使いやすい。以前、動画撮影用のライトを作ったときにも使ったことがある。
コネクタと LED との配線にはラッピングワイヤという細い導線を使います。
AWG 30, 直径 \( 0.25\,\mathrm{mm} \) という細い規格の導線ですが、\( 500\,\mathrm{mA} \) くらいは普通に流せます。今回は最大で \( 120\,\mathrm{mA} \) なので余裕。
コネクタ
横と手前につけるコネクタには、ピンソケットをつかいます。
ジャンパケーブルを使って電源と接続します。
ふたの軸
最後に、ケースの蓋を開け閉めするときの軸ですが、直径 \( 4\,\mathrm{mm} \) のストローを使います。
ダイソーで 120 本 100 円で売られていた普通のもの。
LED の極性に注意!!
ダイオードって、普通、線が入っている側がマイナスですよね?
例えば、この 3 本はそれぞれ別のダイオードだけど、左がプラスで右がマイナス。ちょっと見にくいかもしれないけど、右端に黒とか灰色の線が入ってます。
さっき、赤色 LED のデータシートを見たんですが、線の入っている側がプラスらしい。
ちょっとびっくりですよね?
(それとも LED の世界では普通のことなんだろうか?)
これは白と赤の LED を一緒に撮影した写真なんですが、全部左がプラス、右がマイナスです。
ちょっと見にくいけど、白の LED にはマイナス側にちゃんと線が入ってます。赤の LED にも線はあるんですが、なぜか線のある側がプラスになっていて、しかも裏面の放熱板がマイナス極とつながっている……。
今回の設計では左がプラス、右がマイナスというレイアウトになってるんですよね。
赤色 LED も左をプラスにしよう思ってたんだけど、放熱板をアルミホイルに載せないといけないから、どうしても左をマイナスにしないとダメそう……。
赤色 LED 用に設計を変更する方法もあるんだけど、さすがに面倒くさすぎるので、左をマイナス、右をプラスにして、電流の向きを逆にしようと思います。
とはいっても、白色と赤色で電流の向きが逆だと絶対接続ミスるので、電流の向きを表す矢印のラベルを貼っておくことにしました。詳しくは次回。
さいごに
はい、今回はここまでです。
今回作製した設計図とかは GitHub にアップロードしてますので、もし作ってみたいという人がいれば、参考にしてください。
では、ここまで見てくださった方、本当にありがとうございました。
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ゼロ・インピーダンスの Kenn でした。
2020/02/19